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ヘンリー・ダーガー


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Henry Darger (ヘンリー・ダーガー)のことを知ったのは、2~3年前だと思います。

アートブック系の本屋さんで偶然彼の本を見つけたのですが、

初めて見たときは、ただ「色がとても綺麗で可愛い絵」かと思っていました。


でも、よくよく見るとかなりシュール。

お腹を裂かれて、内臓がドバっと出てるようなグロテスクな絵もあるし・・・

いったいこれは何なの?

絵のほうは、素人っぽく稚拙・・・

私は作品そのものより、この奇妙な絵を描いた作者の方に興味がそそられました。

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ダーガーの作品は、

「非現実の王国」と言う1万5千ページ以上にも及ぶ大長編小説と膨大な挿絵です。

1911年、19歳の時に描き始め、

以後60年に渡って作品制作に没頭します。

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1973年、救貧院で ひっそりと亡くなるまで、

その超大作は、誰の目にも触れることはなかったのですから、

ダーガーは自分のためだけにこの作品を完成させた訳です。

死の直前、アパートの大家がこの膨大な作品群を発見しますが、

名も無い老人が描いたこの作品を処分もせずにきちんと保存して下さったおかげで、

今、世界中にダーガーの名が知られることとなりました。



ダーガーは、信じられないほど悲惨な生涯を送った人です。

1892年、シカゴ生まれ。

幼くして母を亡くし妹は里子に出され、

父は体調を崩して救貧院に入ります。

彼自身はカトリック教会の孤児院に送られますが、

誤診により、知的障害者施設に入れられてしまいます。

健常でありながら、

重度の精神障害施設で生きなければならなかった彼の精神はどれだけ蝕まれていたかと思うと、

可哀想でなりません。



17歳の時に彼はここを脱走。

以後、救貧院で亡くなるまでの長い歳月を、

昼は病院の清掃夫として働き、作品の制作に没頭して過ごしました。

ここで簡単に説明できないほど、

ダーガーはあまりにも壮絶な一生を送った人です。


作品の方は、

子供を奴隷にする軍事国家と戦う少女戦士「ヴィヴィアンガールズ」の物語ですが、

その内容は暴力的で残酷で、

カラフルでファンタジックな絵とのギャップに戸惑ってしまいます。

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彼の悲しい幼少期と孤独な人生が、

妄想を徐々に巨大化させ、この膨大な物語と挿絵を完成させたのですね。

Dargerの発音は、“ダーガー”ではなく、“ダージャー”という説もあります。

まだまだなぞの多い人なんですね。

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ダーガーのことは、去年(5月号)の『美術手帖』に詳しく載っています。

以前、この本を教室に持っていったことがありますけど、

生徒さん達からはノーリアクションでした(-_-;

もう一回教室の方に持って行きますので、興味のある方はご覧下さいね。

by bonzok | 2008-10-19 11:18 | ヘンリー・ダーガー

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